糖鎖なるほど研究所

話題の糖鎖についてよくわかる

ようこそいらっしゃいませ。「糖鎖なるほど研究所」は、なにかと難しい単語が飛び交う糖鎖についての基本知識を、なるべくわかりやすく解説することを目的としたWebサイトです。

「糖鎖なるほど研究所」は、私たちの健康と“糖鎖”の関係について、難しい内容をわかりやすく解説することを目的に、立ち上げたWebサイトです。私は、所長こと「さとう」です。

新人の「スガ」です。糖鎖のことについてまだ知らないことがたくさんありますが、さとう所長と一緒に、みなさんにわかりやすい情報を発信していければと思っています。

健康のカギを握る“糖鎖”について学ぼう!

早速ですが所長、糖鎖って何ですか?糖というと、甘いお砂糖をイメージしちゃいます。僕、意外と甘いものが好きで、特にショートケーキには目がな…

スガくん、「糖」と言っても、ショートケーキとは何の関係もありませんよ。糖鎖は、人間の細胞1つ1つに鎖状についている糖のことです。読んで字のごとく、糖の鎖というわけですが、英語ではSugar Chainではなく、Glycoformと言います。

糖鎖とは

細胞同士がコミュニケーションをとるためのアンテナのこと

私たちの体は、約60兆個の細胞からできています。この細胞1つ1つにくっついているのが、糖鎖。8種類の糖が鎖のように繋がっているから、「糖鎖」と呼ばれています。

糖鎖の種類

糖鎖は、8種類の糖鎖栄養素がどんな順番で、どれくらいの長さで繋がっているかによって働きが違います。

ひとつの糖鎖あたりに繋がる糖の数は、たった2個のものもあれば、数万個以上となるものもあります。

その組み合わせの種類は数え切れないほど膨大ですが、大まかに分類すると「糖タンパク質」「糖脂質」「プロテオグリカン」という3つの種類に分けることができ、それぞれが私たちの体の中で異なる役割を果たしています。

糖鎖の働き

糖鎖には大きく分けて4つの働きがあります

  • 細胞同士のコミュニケーション…細胞同士の情報交換はすべて糖鎖を通して行われます。
  • 細胞の質の管理…細胞同士の情報交換で得た情報を使って、体に必要な細胞は守り、不要な細胞は分解します。
  • 免疫系のコントロール…体内に侵入したウイルスや細菌を検知して、ウイルスを攻撃し、退治するよう他の細胞に指令を出します。
  • 血液型の決定…赤血球という細胞についている糖鎖の、1番端の糖が何糖かによって決められています。

糖鎖に異常が起きると……

色鉛筆とはてなマークの画像

糖鎖が正常に働くことで、私たちの体は健康に保たれています。では、糖鎖のバランスが崩れてしまうと、どうなるのでしょうか。

スポーツに例えると、糖鎖はチームの要となる司令塔です。今チーム内の選手がどんな状態かを把握し、敵とどう戦えば良いか的確な指示を出します。

その司令塔がいなくなってしまったら、どうなるでしょう。みんなをまとめて指示を出す人がいなければ、チームはうまく回りません。選手たちはどう動いたら良いかわからなくなってしまい、敵の思うがままに攻め込まれてしまいます。

糖鎖のバランスが崩れるということは、それと同じこと。糖鎖(司令塔)がうまく働かなければ、チームメンバー(細胞)はバラバラになり、敵(ウイルスや細菌)と戦うことができなくなってしまいます。

糖鎖は、喫煙・飲酒・ストレス・運動不足・紫外線・栄養バランスの偏りなどの生活習慣によって、バランスが崩れてしまいがち。そのため、積極的に糖鎖栄養素を補給して、バランスを保つ必要があるというわけです。

糖鎖は色々な体の不調と関係している?

糖鎖は、「肝臓病」「関節リウマチ」「癌(がん)」「アルツハイマー」「インフルエンザ」「不妊症」「発達障害」などと関係していると、さまざまな研究により明らかになっています。

糖鎖についてはまだ解明されていないことが多く、研究者たちが病気との関係を調べている最中です。糖鎖を整えれば病気が治る、というわけではありません。しかし実際悩みを持った方が、糖鎖を摂取して嬉しい変化を感じているということも事実です。

糖鎖は、色々な体の不調と関係があるんですね。

そうですね。覚えておいて欲しいのは「糖鎖を整えれば病気が治る」というわけではないということです。しかしこうしている今も、糖鎖と病気の関係についての研究は着々と進められています。

これから先、様々な病気との関わりが期待できるということですね。

はい。糖鎖は特定の病気に効くというわけではなく、体全体の免疫を高めることに繋がるものです。だから糖鎖を整えることが体にとって良いことだということは間違いありません。

どんな人でも、糖鎖を健康にすることを意識しなければいけませんね!

糖鎖と様々な病気の関係

肝臓病

お酒を飲み過ぎてしまう方が特に心配なのは、肝臓の不調。肝臓は、アルコールや薬などの有害物質を分解したり、消化吸収のために必要な消化液を作り出すなど大切な役割を果たしています。

肝臓病とは、脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝臓癌という4つの病気を総称した呼び方。肝機能障害や肝疾患とも呼ばれています。

現在注目されているのが、肝臓病の治療に糖鎖を役立てるという研究。これからさらに研究が進み、糖鎖の機能を利用した医薬品などの発売が期待されています。

また、糖鎖は肝臓癌の発見にも役立っています。肝臓癌になると血液中細胞に糖鎖異常が現れることがわかっているため、糖鎖を調べることによって、肝臓癌の早期発見につながり、速やかに治療をスタートすることができるというわけです。

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関節リウマチ

関節リウマチは、関節が炎症を起こして、軟骨や骨が破壊されてしまっている状態です。放っておくと、腫れや激しい痛みを伴い、関節が変形してしまうという病気。特に手足の関節で起こりやすいのが特徴です。

特に30〜40代の女性に多いと言われていますが、年齢や性別に関わらず発症する可能性があるため注意が必要です。

関節リウマチになると患部には糖鎖異常の細胞が増加するため、これを発見することで早い段階でリウマチの治療をスタートすることができます。

また患部に存在する、あるタンパク質の信号を妨げることで、軟骨の破壊を防ぐことができることを京都大学の研究グループが発見しました。これにより、さらに効果的な関節リウマチの治療方法の研究が進められています。

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癌(がん)

約60兆個の細胞からできている人間の体。その細胞から生まれた異常な細胞のことを癌細胞と呼びます。そしてこの癌細胞が作り出した悪性腫瘍のことを「癌」と言います。

癌細胞の糖鎖には異常が起きているということがわかっています。しかし、「癌が原因で異常が起きているのか」また「異常が起きていることが癌の原因なのか」はまだ研究途中の段階。これが解明されれば、癌の早期発見にも繋がるでしょう。

また、癌細胞の糖鎖が癌の増殖や転移に使われているということから、それを逆手に取った治療方法の研究も進められています。

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アルツハイマー

「アルツハイマー病による認知症」または「アルツハイマー病による軽度認知障害」のことを、一般的にアルツハイマー病と呼んでいます。

この病気は、アミロイドβとタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まってしまうことが原因。これによって脳細胞が死滅してしまうという障害で、次第に体の機能にも影響を及ぼしていきます。

アルツハイマーと関係しているのは、バイセクト糖鎖という糖鎖の一種。アルツハイマー病患者の脳では、このバイセクト糖鎖の量が増加しているということがわかったのです。

つまりこのバイセクト糖鎖の増加を防ぐことができれば、アルツハイマーの治療に繋がるのでないかと考えられ、研究が進められています。

また、糖鎖が正常な働きをしていないことによって、アルツハイマーが進行するということも考えられています。

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インフルエンザ

毎年冬になると大流行するインフルエンザ。主にA型、B型、C型という3つの種類があり、それによって現れる症状や経過の具合も異なります。

実は、インフルエンザウイルスには、人間の細胞と同じく糖鎖が存在しています。

インフルエンザウイルスの表面についているのは、ヘマグルチニンとノイラミニダーゼという2種類の糖鎖。この2つの糖鎖の働きで、ウイルスはどんどん増殖していきます。

抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザは、糖鎖とインフルエンザウイルスの関係に着目して開発されました。これらの薬には、ウィルスの結合部分となる糖鎖を切り離し、インフルエンザウイルスが人間の細胞に侵入することを防ぐという働きがあります。

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不妊症

日本産婦人科学会では、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しないことを不妊と定義しています。

妊娠に至るためには、限られた時間の中で精子と卵子が出会わなければいけません。それには糖鎖がとても重要な役割を担っています。

実は不妊の原因の3〜4割は、精子と卵子についている糖鎖の異常だと言われているほど。糖鎖は精子と卵子が出会うためのアンテナのような役割を果たすため、異常が起きているとお互いをきちんと認識することができなくなってしまうのです。

なかなか妊娠に至らないという場合は、糖鎖の働きが乱れてしまっているという可能性も考えられます。

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発達障害

自閉症、アスペルガー症候群、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)の総称である発達障害。原因は医学的にはまだ解明されていませんが、遺伝的要因や環境的要因の可能性があると考えられています。

症状が進んでしまう原因のひとつとして、糖鎖が正常に働いていないという可能性も否定できません。

また、発達障害と関係している脳神経の形成に、コンドロイチン硫酸という糖鎖の一種が関係していることを新潟大学の研究グループが明らかにしました。

糖鎖についてはまだ研究が進められている段階ではありますが、その研究が発達障害の改善に何らかの影響を与えることは十分に期待できます。

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糖鎖を整える方法は?

糖鎖を整えるためには、2つの方法があります。

1、糖鎖栄養素を食品から摂取する

和食の画像

食品に含まれる8種類の糖鎖栄養素

グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸という8種類の糖鎖栄養素は、食品に含まれています。

しかしこの中で食べ物から十分な量を補給できるのは、グルコースとガラクトースの2種類だけ。あとの6種類は食事だけでは必要量を補うことはできないのです。

本来は、8種類すべての栄養素が食事から補給することができるはずなのですが、現代は環境汚染や農薬の使用などが原因で食品の栄養価が下がってしまっています。

栄養たっぷりの土壌で作られた完熟トマトや高級食材のツバメの巣には、これらの栄養素のほとんどが含まれているといわれていますが、毎日食べるのはなかなか難しいことです。

糖鎖栄養素の含まれている食べ物と働き

糖鎖栄養素 含まれている食べ物と働き
グルコース 含まれている食べ物:炭水化物、果物、野菜
グルコースは、体のエネルギー源となる栄養素。一般的にはブドウ糖と呼ばれているものです。ブドウ糖は体内に入ると、グリコーゲンという形に変化します。このグリコーゲンは筋肉や肝臓に保管され、体を動かすためのエネルギー源として適宜使われます。また、脳を正常に働かせるためにも欠かせないもので、血液脳関門という関所を通過できる数少ない栄養素なのです。
ガラクトース 含まれている食べ物:牛乳やチーズなどの乳製品、ツバメの巣
グルコースと同じような役割を果たす栄養素。お腹の中にいる赤ちゃんの成長に大きな影響を与えるものでもあります。また腸内に存在している善玉菌と悪玉菌のバランスを保つ働きも。それによって免疫力がアップし、癌の成長や転移を抑制したり、インフルエンザウイルスが体内に侵入するのを妨げたりする効果が期待できます。
マンノース 含まれている食べ物:アロエベラ、ツバメの巣、こんにゃく
様々な敵から体を守る、マクロファージという細胞を活性化させる働きがあります。このマクロファージは、私たちの体に侵入してくるウイルスや細菌を除去してくれるのです。つまり、マンノースを摂取してマクロファージを活性化させることが、様々な病気の予防に効果的ということです。マンノースは、こんにゃくの主成分であるグルコマンナンに豊富に含まれています。
フコース 含まれている食べ物:メカブやもずくなどの海藻類、キノコ類、ツバメの巣
海藻類に多く含まれているフコース。これは海藻が、自身を細菌や乾燥、傷から守るために分泌しているぬめり成分のことです。私たちの体では、常に新しい細胞が生まれ、古い細胞が死滅するというサイクルを繰り返していますが、癌細胞は古くなっても死滅することなく増殖し続けます。フコースの役割は、この癌細胞を死滅に追い込むこと。また、鼻炎や花粉症などのアレルギー症状の緩和にも一役買っています。
キシロース 含まれている食べ物:穀物や植物の皮、メープルシロップ
穀物や植物の皮に含まれる甘味成分。甘さはショ糖の4割程度で高価なため、一般的な甘味料として利用されることはあまりなく、ダイエット食品などに利用されることが多いです。キシロースには、感染症の原因となる病原体や、アレルギーの原因となるアレルゲンの結合を阻止するという働きがあることがわかっています。
N-アセチルグルコサミン 含まれている食べ物:ツバメの巣、甲殻類
N-アセチルグルコサミンは、ヒアルロン酸のもとになる栄養素。人間の体にも存在しており、健康を保つのには欠かせないものです。通常のグルコサミンと比べると、摂取した際、体の中で利用される割合が3倍以上と言われています。N-アセチルグルコサミンを摂取することは、関節の痛みなどにも効果的。また、癌の抑制にも効果を発揮しているということがわかっています。
N-アセチルガラクトサミン 含まれている食べ物:ツバメの巣、牛乳
人間や動物の感覚神経構造に多く含まれているN-アセチルガラクトサミン。感覚神経とは、目や耳などの器官で受け取った刺激を、脳まで伝える神経のことです。特に脳の神経が発達する幼少期には、欠かせない栄養素。ガラクトースから誘導された単糖なので、免疫力アップやウイルス感染の予防などの効果も期待できます。
N-アセチルノイラミン酸 含まれている食べ物:ツバメの巣、母乳
高級食材のツバメの巣に多く含まれている栄養素。希少価値が高く、摂取することが難しいのが特徴です。N-アセチルノイラミン酸は、ウイルスや菌と結合するため、様々な病気の予防に効果的。特に、インフルエンザに有効だということが明らかになっています。また、乳児期のラットを使った実験では、記憶学習能力の向上にも効果があるということが報告されています。

2、体内で合成する糖鎖栄養素の量を増やす

人体模型の画像

糖鎖栄養素は肝臓でもつくられている

糖鎖栄養素は、実は私たちの肝臓の中で作られています。食事から十分に摂れるグルコースとガラクトースを材料にして、残りの6種類の栄養素は肝臓の中で合成することができるのです。

しかしそれには、たくさんの酵素とビタミンやミネラル、たっぷりの時間と、ものすごい量のエネルギーが必要になります。

現代に生きる私たちの肝臓は、食生活の変化やストレスの増加により、その処理で大忙しの状態。糖鎖栄養素を十分な量作るまでは、手が回らない状態なのです。

糖鎖を整えるにはサプリメントがおすすめ

さとう所長、糖鎖を元気にしたいと思ったのに、八方ふさがりですね。

今私たちが生きている環境が、どれだけ体に悪いものなのかということを思い知らされますね。

僕、毎日もぎたて完熟トマトが食べられる、トマト農家に転職します!!!もしくは中華料理屋さんになってツバメの巣を…

まぁまぁ落ち着いて。糖鎖栄養素を十分に補給できる方法は、今のところ健康食品やサプリメントが最も有効だと思います。糖鎖サプリメントには、8種類の糖鎖栄養素が全て配合されていますからね。

なるほど!サプリメントですね!

決して値段が安いものではありませんが、試してみる価値はあると思います。実は少し前まで、食事やサプリメントから摂った糖鎖栄養素は、体内に入ると他のものに変換されてしまうと考えられていました。そのため肝臓で作り出すしか方法がないと思われていたんです。

ほう…。

しかし最近の研究で、外から摂取した糖鎖栄養素は、変換されずにそのままの形で活用されるということがわかったんです。

食事から摂取するのが難しいなら、サプリメントを利用するしかない、ということですね。

まとめ

糖鎖がどんなものか、少しずつわかってきましたか?

はい!糖鎖って、僕たちを守る大切なものなんですね。お砂糖のことかな、なんて思っていた自分が恥ずかしいです…。

何度も言いますが、糖鎖にはまだまだ解明されていないことがたくさんあります。でもこれから先、もっと研究が進み、私たちの健康との関わりが少しずつ明らかになってくると思います。

なんだかわくわくしますね!

私たちも置いて行かれないように、日々勉強していきましょう!