
糖鎖栄養素とは
糖鎖を整えるためには、「糖鎖栄養素」を摂り入れる必要があります。糖鎖栄養素と呼ばれる8種類の栄養素について、それぞれ私たちの体の中でどんな働きをするのかをわかりやすく解説しています。
さとう所長、糖鎖を整えるにはどうしたら良いのでしょうか。
乱れた糖鎖を正常化させるには“糖鎖栄養素”を補給するという方法以外ありません。
糖鎖栄養素ですか!
糖鎖栄養素とは、糖鎖をつくっている8種類の糖のこと。1つ1つがこれ以上分解することのできない、1番小さな単位の単糖です。
自然界には200種類以上もの単糖があり、糖鎖はその中の8種類の単糖が鎖状に繋がったもの。その繋がり方の違いが体の色々な情報を識別し整理し、あらゆる不調を予防・改善してくれるのです。
なるほど~。全部同じではなく、繋がり方が違うんですね!
糖鎖の繋がり方のパターンは、約5000種類も見つかっていて、まだ明らかになっていないものも含めると、20000種類ほどあると予想されているんですよ。
そんなにあるんですか!それだけ糖鎖がたくさんの情報を処理してくれているということですね。
それでは、8つの糖鎖栄養素にそれぞれどんな役割があるのか詳しく見ていきましょう。
- 1 8つの糖鎖栄養素の働き
- 1.1 グルコース(ブドウ糖)
- 1.2 ガラクトース(乳糖)
- 1.3 マンノース
- 1.4 フコース
- 1.5 キシロース
- 1.6 N-アセチルグルコサミン
- 1.7 N-アセチルガラクトサミン
- 1.8 N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)
- 2 まとめ
8つの糖鎖栄養素の働き
グルコース(ブドウ糖)

体のエネルギー源!
一般的に“ブドウ糖”と呼ばれているものです。ブドウ糖は1番のエネルギー源。脳や筋肉などを正常に動かすために活躍しています。
ブドウ糖は、体の中に入ると酸素と反応してグリコーゲンという形に変化します。筋肉や肝臓に保管され、血液中のブドウ糖が足りなくなると、保管されていたグリコーゲンがまたブドウ糖に形を変え、栄養素として使われます。
脳に運ばれる栄養素は、有害な物質が入り込んでしまうのを防ぐために、血液脳関門という関所で厳しいチェックを受けます。
ブドウ糖はこの関所を通過できる数少ない栄養素の1つ。脳を正常に働かせるために、なくてはならない栄養素なのです。
ガラクトース(乳糖)

赤ちゃんの成長に関わる栄養素
グルコースと同じく、脳や体を正常に動かすためのエネルギー源となります。
特にお腹の中にいる赤ちゃんにとって、とても重要なエネルギー源となり、このガラクトースが不足してしまうと、成長に影響が出てしまうことがあります。
ガラクトースには、腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌が優勢な腸内環境を保つという役割もあります。
腸内には、善玉菌と悪玉菌が存在しています。
健康な人は、良い働きをする善玉菌が優勢・悪い働きをする悪玉菌が劣勢の状態ですが、偏った食生活やストレスなどによってバランスが崩れてしまうことがあるため、善玉菌のエサとなるガラクトースを摂取して、そのバランスを保つ必要があるのです。
善玉菌が優勢の状態になることで、免疫力がアップし、細菌やウイルスの感染を防いだり、癌の成長転移などを抑えたりといった効果が期待できます。
マンノース

風邪やインフルエンザから体を守ってくれる
グルコースやガラクトースの仲間。こんにゃくの主成分であるグルコマンナンにも含まれている栄養素です。
マンノースの主な働きは、体を様々な敵から守る“マクロファージ”を活性化させること。
私たちの体には、マクロファージという頼もしい細胞が存在しています。マクロファージの役割は、体の中に入ってくる細菌やウイルスを除去することとされています。
それによって体の免疫力が高まり、風邪やインフルエンザなどの感染系の病気を予防してくれるだけでなく、毎日数千個発生しているという癌細胞からも、私たちの体を守ってくれています。
マンノースがマクロファージを活性化させることで、さまざまな病気を防ぐことができるというわけです。
フコース

悪い細胞を死滅へと追い込む
フコースは、昆布やわかめなどの海藻類に含まれる成分です。細菌や乾燥、傷から守るためのぬめり成分で、癌細胞の成長や転移を抑制するという働きがあります。
私たちの体は、60兆個の細胞でできています。この細胞は新陳代謝によって、古い細胞はどんどん新しいものに入れ替わっていきます。
正常な細胞は一定の期間を過ぎると、自動的に死滅していくようになっていますが、この古い細胞が死滅することなく、体の命令を無視して増え続けるのがいわゆるがん細胞。
フコースには、この癌細胞を死滅に追い込む働きがあるということがわかっています。
また、花粉症や鼻炎などのアレルギー症状を緩和するという効果も期待できます。
キシロース

ツラい花粉症予防にも
穀物や植物の皮などに含まれている自然の甘味成分です。
体の中に細菌が侵入するのを阻止するという役目を果たしています。
花粉やダニなどのアレルギーの原因となるアレルゲンや、感染症の原因となる病原体の結合を阻止。これによって、花粉症やインフルエンザなどの流行風邪から体を守ってくれます。
N-アセチルグルコサミン

関節痛の動きをサポート
化粧品によく含まれているヒアルロン酸の、もとになる単糖です。
人間の体の中にも存在していて、肌や目、関節などを健康に保つのにとても重要な役割を担っています。
この栄養素を補給すると、特に年を重ねると現れる関節の痛みに効果が。軟骨がすり減ってしまうのを防ぎ、関節がスムーズに動くようサポートしてくれます。
また最近の研究では、癌の抑制にも効果を発揮することも明らかになっています。
N-アセチルガラクトサミン

子供の健やかな成長に欠かせない
ガラクトースから誘導された単糖です。人と動物両方の感覚神経構造に多く含まれています。
感覚神経とは、視覚や聴覚などの感覚器官で受け取った刺激を、それぞれの感覚中枢まで伝える神経のこと。N-アセチルガラクトサミンは、脳の神経が急速に発達する子供の時期に大切な栄養素だといえます。
また、ガラクトースと同じく免疫活性化作用があるため、癌の成長や転移を阻止してくれます。
N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)

ツバメの巣に含まれる貴重な栄養素
ツバメの巣から得ることができるシアル酸に、最も多く含まれている単糖類。とても希少性の高い栄養素です。
ウイルスや菌と結合するという性質があり、病気の予防に効果的。特にシアル酸には、インフルエンザウイルスに有効だということがわかっています。
また、脳の発育にも欠かせない存在です。乳児期のラットを使った実験では、シアル酸を投与したことで記憶学習能力が向上したという報告もあります。
まとめ
あまり馴染みのない栄養素ばかりですが、グルコースやガラクトースはなんとなく耳にしたことがあるような気がします。
そうですね。しかしこの8つの栄養素は、人間の体にとってどれも大切なものなんですよ。
なるほど~。ではこの栄養素が含まれた食べ物をいっぱい食べれば良いというわけですね!早速、今日の食事から摂り入れてみます!
スガくん、実はこの中で食事から十分な量がとれるのは、グルコースとガラクトースの2種類だけなんです。
えーっ?!ではどうやって8つの栄養素を摂れば良いんですかっ!
それは次のページで説明しますので、落ち着いてください。
早く教えてください、所長!