糖鎖なるほど研究所

話題の糖鎖についてよくわかる

ようこそいらっしゃいませ。「糖鎖なるほど研究所」は、なにかと難しい単語が飛び交う糖鎖についての基本知識を、なるべくわかりやすく解説することを目的としたWebサイトです。

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どんな種類があるの?

人の身体にある糖鎖は10種類前後の糖で構成されていますが、長さは2~200個ほども幅があり、その組み合わせは凄まじい数となります。そこでまず押さえておきたいのが、糖鎖の大まかな分類です。このページでは、糖鎖の構成要素とその働きに始まり、糖鎖の分類について、わかりやすさを心掛けてまとめてみました。

所長!糖鎖について、自分でも調査してみました。『糖鎖には種類がある』ということはわかったんですが、詳しいことがいまいちわからなくて…。

おっ。スガくん、研究熱心ですね。そう、糖鎖には種類があるんです。

ちょっとよくわからないので、解説をよろしくお願いします。

糖鎖を構成するのは8種類の単糖

糖鎖の種類を見ていく前に、まず糖鎖がどういった要素で構成されているのかを紹介したいと思います。

糖鎖は、その名の通り糖の鎖です。糖鎖には無数の種類がありますが、人の体内にある細胞で使われるものは、主に以下の8種類の糖の組み合わせで作られています。

糖の名前 おもな働き
グルコース 細胞のエネルギー源、免疫力アップ
ガラクトース 免疫力アップ、がん予防、カルシウムの吸収サポート
マンノース 免疫力アップ、消炎作用
N-アセチルグルコサミン がん細胞の抑制、関節機能のサポート
N-アセチルガラクトサミン がん細胞の抑制
フコース 免疫力アップ、がん細胞の抑制
キシロース 殺菌作用、アレルギー反応の抑制
シアル酸(N-アセチルノイラミン) 脳の神経形成、免疫力アップ。

これらは、それ以上分解できない糖、単糖に分類されています。単糖が2~数万ほどつながったものが、糖鎖と呼ばれているわけです。

糖鎖の種類は膨大にある

単糖が繋がったものが糖鎖ですが、前述の通り、繋がる単糖の数は2個~数万個にも及び、その組み合わせも膨大です。

すべてを把握することは、なかなか難しいですよね。

そこで知っておきたいのが、糖鎖の大まかな分類です。じつは、人の身体の中で使われる糖鎖は、タンパク質や脂質と繋がった形で働きます。この、糖鎖がタンパク質や脂質と繋がったものを複合糖質と言います。

糖質を構成する糖鎖は、ガラクトースやマンノース、アミノ糖などの単糖が鎖のようにつながったもので、タンパク質や脂質と結合した複合糖質となって、私たちのからだを構成する細胞の表面にたくさん飛び出ています。

引用元:糖質科学とは?|生化学工業株式会社

糖鎖は本来分泌と密接な関係があると考えられており、実際に分泌タンパク質として体液中に存在したり、膜タンパク質や糖脂質として細胞表面を覆っていることが大半です。

引用元:産総研:糖鎖創薬技術研究センター | 糖鎖って?

重要なのは複合糖質

複合糖質は、以下の3種類に分けられます。

糖タンパク質

タンパク質に数本~数十本の短い糖鎖が付いたもの。細胞膜の表面に表れるタンパク質は、そのほとんどが糖鎖と繋がった糖タンパク質です。病原体やがん化した細胞を見分けるなど、非常に重要な役割を持っています。

糖タンパク質は、くっ付く糖鎖のパターンによって、さらにO-型とN-型に分けられます。

  • O-型…セリンやスレオニンに結合したもの。比較的単純な構造を持つ。
  • N-型…アスパラギンに結合したもの。複雑な構造を持つ。

O-型、N-型というのは基本形であり、実際にはそれぞれの型の中にさらに無数のパターンが存在します。

糖脂質

糖脂質には、スフィンゴ糖脂質とグリセロ糖脂質がありますが、糖鎖がついているのは主にスフィンゴ糖脂質です。

糖脂質が存在するのは、細胞の表面と、細胞内膜。糖タンパク質に繋がる糖鎖は、タンパク質が大きい分、細胞膜から離れたところにあります。一方、糖脂質に繋がる糖鎖は細胞膜上にあり、細胞内外のやり取りに重要な役割を果たすと考えられています。

プロテオグリカン

プロテオグリカンは、長い糖鎖がタンパク質に結合したものを指します。

構造的には糖タンパク質と同じですが、糖タンパクに繋がる糖鎖が数十単位なのに対し、プロテオグリカンに繋がる糖鎖は100~200に及び、また特徴的な働きをするため糖タンパク質とは区別されて呼ばれています。

細胞の表面や細胞間に存在して、細胞間のコミュニケーションや組織形成など幅広い役目を負っています。また、コラーゲンと並ぶ軟骨の主成分でもあり、プロテオグリカンを含む関節サプリメントなども登場しています。

まとめ

糖鎖の種類って、数えられないくらいたくさんあるんですね。

そうですね。糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、というように大きな分類はありますが、細かく見ればキリがありません。しかも、単糖の組み合わせだけでなく、糖鎖が付いている部位によっても、細胞の持つ働きというのは違ってきます。なかなか一筋縄では理解させてくれません。

なんだかクラクラしてきました……。

とはいえ、細胞のどういった機能にどんな糖鎖が関係しているか、というのは少しずつ明らかになってきています。各研究機関の発表を地道に追いかけて糖鎖の理解を深める、というのも、オツなものですよ。