糖鎖なるほど研究所

話題の糖鎖についてよくわかる

ようこそいらっしゃいませ。「糖鎖なるほど研究所」は、なにかと難しい単語が飛び交う糖鎖についての基本知識を、なるべくわかりやすく解説することを目的としたWebサイトです。

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糖鎖とは、人間の細胞の表面にある8種類の栄養素が鎖状に繋がったもの。この糖鎖が癌の発見や、予防に関係しているということが最近の研究で明らかになってきました。というのも、癌と免疫には深い関わりがあるのです。

スガくん、免疫力が低下すると、どんなことが起こるかわかりますか?

うーん……。風邪などの病気になりやすくなるということでしょうか。

そうですね。その中でも、最も怖いのが“癌”です。ここでは癌を例に、免疫力と糖鎖との関係について考えてみましょう。

そもそも癌細胞とは

人間の体は、細胞からつくられています。正常な細胞は、体の状態に応じて量を増やし、必要な量になればそれ以上増えるのをやめます。

一方癌細胞は、正常な細胞の遺伝子が傷つくことで生まれる異常な細胞です。体からの命令を無視して増え続け、周囲の組織を壊したり、本来癌細胞があるはずのない組織に入り込んでしまいます。

そして、このような癌細胞が作り出した悪性腫瘍のことを「癌(がん)」と呼んでいます。

異常な細胞がこの監視の網の目をすり抜けてしまうことがあります。無制限にふえる、ほかの場所に転移するなどの性質を獲得してしまった細胞が何年もかけて数をふやし、体に害を与える悪性腫瘍を形成します。これががんです。

引用元:がんの発生と進行の仕組みを知る|がんになったら手にとるガイド[国立がん研究センターがん情報サービス]

糖鎖と癌(がん)の関係

糖鎖とは、細胞についている鎖状の糖のこと。この糖鎖は細胞同士でコミュニケーションをとったり、細胞同士の情報をやり取りするという働きがあります。

しかし癌細胞の糖鎖は、普通の糖鎖とは異なります。糖鎖に異常が起きていることが癌の原因なのか、癌細胞に変化したことで糖鎖も変化したのかは、まだわかっていません。

癌細胞の糖鎖は、増殖したり、転移するのに使われます。しかしその一方で、そうした糖鎖のはたらきを逆手に取った治療方法も確立されつつあります。

細胞表面に発現する糖鎖は,細胞の癌化に伴って質的・量的に大きく変化するだけでなく,癌の浸潤や転移においても重要な役割を果たすことから,治療への応用に関心が高まっている1,2).

引用元:糖鎖と癌治療/大山力・羽渕友則・加藤哲郎

癌細胞は浸潤・転移に糖鎖を使う

癌細胞が浸潤・転移するときには、糖鎖を使います。たとえば血流に乗って転移する場合は、癌細胞の表面にある糖鎖が糊のような役割を果たして、転移先に接着します。

どういった形で糖鎖を使うか、というのは癌の種類によって違いますが、転移しやすい癌ほど、糖鎖を作り出す酵素の活性が高いことが確認されており、浸潤・転移に糖鎖が関わっていることは間違いありません。

糖鎖異常を逆手に取った癌診断や治療も

癌細胞が正常な細胞に存在しない糖鎖を備えていることを逆手に取り、診断や治療に応用しようとする試みがあります。

腫瘍マーカーというものを聞いたことがないでしょうか。腫瘍マーカーは、各臓器に発生する癌細胞特有の糖鎖を目印とした、癌の診断薬です。まだ診断の難しい臓器もありますが、主要な臓器の癌は、既存の腫瘍マーカーで発見することができるとされています。

また、ある条件下では、癌細胞の糖鎖を免疫系が感知して、攻撃を始めることがわかっており、この仕組みを利用した癌治療薬の開発も進められています。

がん予防で大切なこと

国立がん研究センターによると、癌の予防で大切なのは「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」という5つの生活習慣を見直すことです。

国立がん研究センターは保健所の協力のもと、年齢40歳~69歳の男女総計140,420 人を対象に調査を行いました。その結果は以下の通り。

この5つの健康習慣を実践する人は、0または1つ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなるという推計が示されました

引用元:科学的根拠に基づくがん予防:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]

いかに生活習慣の改善が、癌予防に効果的かということがわかりますね。どのような健康習慣を実践すれば良いかは、国立がん研究センターのページで説明されているので、ぜひそちらをチェックしてみてください。

癌に対処する糖鎖の働きを高める

実は私たちの体の中では、毎日癌細胞がうまれています。ではなぜそれだけたくさんの癌細胞があるにも関わらず、なぜ癌が発症していないのでしょうか。

それは、免疫細胞が癌細胞を退治してくれているからです。免疫細胞は、他の細胞を見つけると、その細胞が自分の味方かどうかを判断し、敵だと判断するとその細胞を攻撃し、退治してくれます。

それを見分けるために重要なのが「糖鎖」。糖鎖は、細胞のアンテナとして、癌細胞を見分け、免疫細胞に退治するように命令を出します。

しかし糖鎖が正常に働いていないと、癌細胞を見分けることができず、癌細胞はどんどん増殖してしまいます。

つまり、糖鎖を整えることは、癌の予防にもつながるというわけなのです。

まとめ

免疫力が低下する=癌から体を守る防御能力が低下する、ということなんですね。

そうですね。もちろん他の病気にも当てはまることですが、癌という恐ろしい病気にも糖鎖が関わっているということをわかっていただけたでしょうか。

はい!次は糖鎖を整えるためにどうしたら良いかが気になりますね。

任せてください。それはこちらのページで解説しましょう。

糖鎖を整えるためには?