
最近忘れっぽくなってきた方
アルツハイマー病とは、脳に2つのたんぱく質が蓄積されることによって引き起こされてしまう病気の1つ。このアルツハイマー病と糖鎖にはどのような関係があるのか解説していきます。
年齢を重ねるにつれて、物忘れが多くなるといいますよね。
そうですね。実は私もたまに「あれっ?」と思うことがあるんですよ。
さとう所長もですか!物忘れやアルツハイマーと糖鎖にも、何か関係があるのでしょうか?
早速、詳しく見ていきましょう。
そもそもアルツハイマー病とは
アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)とは、正式にいうと「アルツハイマー病による認知症」または「アルツハイマー病による軽度認知障害」のことです。
この名称だととても長いので、一般的には「アルツハイマー病」や「アルツハイマー」といわれることがほとんどです。
アルツハイマー病は、脳にアミロイドβとタウと呼ばれる特殊なたんぱく質が溜まり、脳細胞が死滅してしまうことによっておこる障害。少しずつ脳全体が委縮し、体の機能も失われていってしまいます。
初期段階ではアミロイドβの蓄積から始まりその約10年後からタウタンパク質の蓄積が始まります。それから更に約15年間アミロイドβとタウタンパク質は蓄積を続け、脳神経細胞を死滅させ認知症を発症させます。発症は初期段階から約25年かかります。
アルツハイマー病を発症すると、記憶障害の症状が見られ、進行にともなって場所や時間、人物などの認識ができなくなる「見当識障害」の症状が現れます。身体的機能も低下して動きが不自由になったりします。進行の度合いには個人差があり、わずか数年で寝たきりになってしまう人もいますが、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいます。アルツハイマー病の根本治療はまだ出てきていませんが、抗認知症薬で病気の進行を遅らせることができます。
引用元:認知症とアルツハイマー病はどう違う? | 認知症フォーラムドットコム|認知症に関わる全ての方に「本人の心の声」を届けていきます。
根本的な原因は脳にあるバイセクト糖鎖が増えること?
アルツハイマー病の原因になるアミロイドβが増えてしまうのは、バイセクト糖鎖の影響だという研究結果が出されています。
バイセクト糖鎖は、たんぱく質に糖が繋がった糖鎖の一種。最近アルツハイマー病患者の脳でこのバイセクト糖鎖の量が増えていることがわかりました。現在、バイセクト糖鎖が作られるのを防ぐ薬の研究・開発が進められています。
バイセクト糖鎖を作る酵素「GnT-III[3]」を欠損させたマウスを用い、脳内のAβの蓄積を調べました。その結果、バイセクト糖鎖を持たないマウスでは、Aβの蓄積が激減し、記憶能力の低下も抑えられることが分かりました。
引用元:アルツハイマー病を進行させる糖鎖を発見 | 理化学研究所
アルツハイマーのおもな治療法
アルツハイマーは、完治させることは非常に難しく、現在は薬で進行を遅らせる治療法が主流となっています。
現在厚生労働省に認められている治療薬は以下の4つです。
- ドネペジル(商品名アリセプト)…最も古くから使用されており、使われる割合も多い薬。錠剤、ゼリー剤、ドライシロップがある。
- ガランタミン(商品名レミニール)…2011年から販売されている。軽度~中度のアルツハイマー型認知症に使用される。
- リバスチグミン(商品名リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ)…貼り薬タイプの認知症薬。軽度~中度のアルツハイマー型認知症に使用される。
- メマンチン(商品名メマリー)…2011年から発売されている。中度~高度のアルツハイマー型認知症の症状を抑制する。
糖鎖異常とアルツハイマー病の関係
糖鎖とは、人間の細胞1つ1つに鎖状についている糖のこと。この糖鎖には、細胞同士でコミュニケーションを取ったり、体に入ってきたウイルスを追い出すように他の細胞に指令を出したりする役目があります。
しかしこの糖鎖が正常に働いていないと、ウイルスから体を守ることができなくなり、さまざまな体の不調があらわれてしまうというわけです。そしてそれはアルツハイマー病にも関係しています。
加齢によって糖鎖の一部が欠損すると、脳内の免疫系が異常を起こし、正常な細胞を攻撃して壊し始めます。これによってアルツハイマーが進行するということがわかっているのです。
糖脂質の糖鎖が欠損すると、外的から自らを守るために働いている補体系が宿主の神経系を攻撃することによって、炎症および神経変性を引き起こすことが分かった。アルツハイマー病など様々な神経変性症でも補体系が活性化して神経変性を招くことが知られており、補体系による炎症・神経変性のプロセスは普遍的なものかもしれない。
引用元:糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する
糖鎖はタンパク質の物性に影響を与えるとともに分子間の認識に大きな役割を持つ.たとえば脳における複雑な神経回路の形成には,細胞間の糖鎖認識が重要な役割を担っていると予想される.
ヒト脳では老化に伴いリン脂質やコレステロールとともに糖脂質の組成が変化することが報告されている2).しかしながらこうした変化が,脳の機能変化といかに関係するかよく分かっていない.
アルツハイマー病の予防のために大切なこと
アルツハイマー病を予防するために、まず始めたいのが適度な運動と、十分な睡眠をとることです。それぞれ心掛けたいポイントをまとめます。
運動について
アルツハイマー病の原因は、脳にアミロイドβ・タウという2つのたんぱく質が蓄積してしまうことだと説明しました。実は最近の研究でこうした脳の現象に運動が有効であるということがわかってきたのです。
おすすめは、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動。30分程度の運動を、1週間に3~4回くらい行うようにしましょう。
半年から1年程度続けることで、脳への効果が期待できます。
睡眠について
私たちが眠っている間にも、脳はさまざまな活動をしています。睡眠中の脳の活動の1つとして挙げられるのが、日中に溜まった老廃物の排出。不要なアミロイドβやタウも、排出されています。
アメリカの研究では、睡眠効率が悪い人が最大5倍以上も初期のアルツハイマー病になる可能性が高いということがわかっています。
できるだけ早めに布団に入り、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。また、30分程度の昼寝もアルツハイマーの予防に効果的です。
まさか糖鎖とアルツハイマーが関係しているなんてびっくりですね。
そうですね。糖鎖を整えることが、直接アルツハイマーの改善に効果を発揮するというわけではありません。しかし、糖鎖を整えることは、つまり体の免疫力をアップするということです。アルツハイマーと免疫には大きな関わりがあるため、糖鎖を整えて損をするということはないでしょう。
また、脳内の神経細胞にも当然糖鎖があります。糖鎖は神経細胞の情報伝達にも深く関与しているので、糖鎖の状態がいいと、記憶をよみがえらせたり、集中力を持続することにもつながるんです!
なるほど。では糖鎖を整えるにはどうすれば良いのでしょうか。
それはこちらのページで解説しているので、参考にしてみて下さいね。