
お悩み別に解説!糖鎖と病気の関係
まだ解明されていない部分も多いですが、現在発表されている研究結果などをもとに、糖鎖と病気の関係性についてわかりやすくまとめていきたいと思います。
さとう所長、糖鎖といろいろな病気とは、深い関係があると聞いたのですが本当なんでしょうか。
そうなんです。体の不調は、実は糖鎖が正常に働いているかどうかが鍵になります。糖鎖を健康に保つことで、症状が好転するという場合もあるんですよ。
なるほど~。糖鎖を整えることが、健康につながるというわけですね。病気以外にも、妊娠を希望している方や、子供の成長にも、糖鎖を整えると良いんですよね?
スガ君、よく勉強しているようだね!では、それぞれのお悩みと糖鎖がどんな関係にあるのか詳しくみていきましょう。
- 1 糖鎖と関係しているさまざまなお悩み
- 1.1 お酒を飲み過ぎてしまう方
- 1.2 関節トラブルでお悩みの方
- 1.3 免疫力の低下が気になる方
- 1.4 最近忘れっぽくなってきた方
- 1.5 流行風邪をひきやすい方
- 1.6 妊娠準備中の方
- 1.7 お子さまの成長のサポートに
糖鎖と関係しているさまざまなお悩み
まず初めにお伝えしたいのは、「糖鎖を整えれば病気が治る」というわけではないということです。現在糖鎖についてはまだ解明されていない部分が多く、その働きや病気との関係についてもわかっていないことが多いというのが現状です。
しかし糖鎖を整えることで、細胞同士のコミュニケーション能力が高まり、ウイルスと戦う力が上がるということは、間違いありません。つまり、1つ1つの病気と明確な関係が分かっていないにしろ、どんなお悩みをお持ちの方にも、「糖鎖を整えるべき」ということは、自信を持って言えます。
まだ研究段階ではありますが、糖鎖の秘めたパワーは、研究者たちによって少しずつ明らかになってきています。こちらで紹介するのは、様々な研究結果をもとに、糖鎖と病気の関係についてまとめたものです。
お酒を飲み過ぎてしまう方
糖鎖は、肝臓の疾患にも関係しているということがわかっています。
特に肝臓癌に関しては、糖鎖の異常を見つけることで早期発見につながるということが明らかになりました。
まだはっきりとわかっていることは多くありませんが、さらに研究が進み、肝臓病の治療に糖鎖が役立つのではないかと注目されています。
細胞表面に発現する糖鎖は,細胞の癌化に伴って質的・量的に大きく変化するだけでなく,癌の浸潤や転移 においても重要な役割を果 たすことから,治療への応用に関心が高まっている1,2).
引用元:糖鎖と癌治療
関節トラブルでお悩みの方
京都大学の研究グループが、関節リウマチの患部に、たんぱく質の一種が存在するということを発見しました。
そしてこのたんぱく質の信号を妨げることで、軟骨が破壊されるのを防ぐことができたのです。
このたんぱく質には糖鎖がついており、これを応用したリウマチの治療方法に期待が高まっています。
リウマチの関節炎の主体である滑膜にレクチン様酸化LDL受容体1(LOX-1)という蛋白が発現していることを世界で初めて発見し、このシグナルをブロックすることで滑膜細胞から分泌されている軟骨を破壊する酵素の産生が著明に低下することを発見しました。
引用元:LOX-1シグナルが関節リウマチの病態に大きく関わることを発見-関節リウマチの診断、治療につながる大きな一歩-
免疫力の低下が気になる方
健康な細胞に糖鎖が付いているように、癌細胞にも糖鎖がついています。
しかし癌細胞の糖鎖は、普通の糖鎖とは状態が異なるということが明らかになりました。
糖鎖と癌の関係はまだ明確にはなっていませんが、糖鎖の働きを使った治療方法が研究されています。
細胞表面に発現する糖鎖は,細胞の癌化に伴って質的・量的に大きく変化するだけでなく,癌の浸潤や転移においても重要な役割を果たすことから,治療への応用に関心が高まっている1,2).
最近忘れっぽくなってきた方
アルツハイマー病の根本的な理由は、バイセクト糖鎖の影響だという研究結果が発表されています。
バイセクト糖鎖は、たんぱく質に繋がった糖鎖の一種。アルツハイマー病の患者の脳で、バイセクト糖鎖の量が増加しているということが発見されました。
現在、バイセクト糖鎖の増加を防ぐ薬の研究が進められています。
バイセクト糖鎖を作る酵素「GnT-III[3]」を欠損させたマウスを用い、脳内のAβの蓄積を調べました。その結果、バイセクト糖鎖を持たないマウスでは、Aβの蓄積が激減し、記憶能力の低下も抑えられることが分かりました。
引用元:アルツハイマー病を進行させる糖鎖を発見 | 理化学研究所
流行風邪をひきやすい方
糖鎖は、体の中の細胞だけでなく、インフルエンザウイルスにも存在しています。
インフルエンザウイルスは、糖鎖の一部と結合することで、細胞の中に侵入してくるということがわかっています。
そんなウイルスと糖鎖の関係に着目して開発されたのが、タミフルなどの抗インフルエンザ薬。研究が進むことで、さらに効果的な対処法が見つかるのではないかと期待されています。
糖鎖科学の研究がさらに進み、ウイルスと糖鎖の相互作用のメカニズムが明らかになれば、感染症に対して、より予防能力の高いワクチンや有効な抗ウイルス薬を作り出せる可能性もでてきます。生物の体内におけるウイルス感染という現象にも、糖鎖のもつ多彩な機能が役割を果たしているといえるでしょう。
引用元:[ウイルス感染]「顔」見知りを狙い撃ちするウイルスたち/糖質科学へのイントロダクション<
妊娠準備中の方
糖鎖は、精子と卵子の受精に大きく関わっています。というのも、精子と卵子にはそれぞれ糖鎖が存在していて、お互いがお互いを認識するためのアンテナになります。
糖鎖を頼りにお互いを見つけ出し、結合することで受精が成り立つということです。
糖鎖の異常は、不妊の原因の30~40%を占めるといわれているほど。男女ともに、糖鎖を整えることが大切になります。
精子の一番外側の細胞膜には「糖鎖(とうさ)」と呼ばれる“手”みたいなものが伸びていて、そこに卵子の“手”がくっつく。そのときにカルシウムイオンの細胞内情報伝達物質が活性化される。
引用元:凍結した卵子で将来妊娠できる確率は低い/不妊治療専門施設の黒田インターナショナルメディカルリプロダクション院長黒田優佳子先生
お子さまの成長のサポートに
糖鎖と、発達障害やダウン症など子供の成長に関わる病気については、まだはっきりとはわかっていません。しかし、糖鎖栄養素を摂ったことで子供の様子が変わったという方も多くいらっしゃいます。
また、最近では脳の神経形成にコンドロイチン硫酸という糖鎖の一種が関係しているということが新潟大学の研究グループにより明らかになりました。今後さらに研究が進み、糖鎖が発達障害を改善に導いてくれるという可能性は大いに考えられます。
近年、臨界期やPV細胞の機能異常が、精神疾患(自閉症、統合失調症など)の一因となることが示唆されています。さらに、精神疾患の誘因とPV細胞の周囲に蓄積するコンドロイチン硫酸との関連が報告されつつあるため、将来的には、コンドロイチン硫酸による PV 細胞の機能の改善が、精神疾患の症状の軽減に繋がることも期待されます。