糖鎖なるほど研究所

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お酒を飲み過ぎてしまう方

肝臓病と糖鎖には、どのような関係があるのでしょうか。肝臓の病気というと、つい「お酒の飲み過ぎが原因」と思ってしまいませんか?しかし実はお酒を全く飲まないという人でも、肝臓病になることがあるんです。

僕の父はお酒が大好きなので、肝臓の病気を心配しているんです。

お酒は適量だったらストレス発散にもなって良いですが、飲み過ぎはいけませんね。

肝臓と糖鎖には何か関係があるのでしょうか?

もちろん。糖鎖は健康を司る大切な働きをしていますからね。肝臓の病気とも関係しています。

ぜひ詳しく教えてください!

まず肝臓の病気について知ろう

肝臓は、私たちの体になくてはならない重要な働きを担っています。食べ物の栄養素を代謝したり、アルコールや薬などの有害物質を分解したり、消化吸収に必要な消化液をつくったりします。

これらの肝臓の機能が、何らかの原因によってうまく働かなくなることを肝臓病といいます。

肝臓の病気の種類

肝臓病とは、肝臓にまつわるいくつかの病気を総称した呼び方です。肝疾患、肝機能障害とも言います。代表的な肝臓病は、以下の4つ。

  • 脂肪肝…肝臓に中性脂肪が蓄積してしまっている状態。日本人の4人に1人は脂肪肝だともいわれている。放っておくと、肝硬変や肝臓癌へと進行する可能性も。
  • 肝炎…肝臓の細胞が炎症によって破壊されている状態。日本ではB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによる肝炎が多くみられる。
  • 肝硬変…脂肪肝や肝炎、アルコール性肝障害が進行し、肝臓が硬くなってしまっている状態。肝機能が正常に働かず、肝臓癌になってしまうことも。
  • 肝臓癌…肝臓の癌。肝臓から発祥した原発性肝癌と、他の臓器の癌が転移した続発性肝癌に分けられる。

考えられる原因

肝臓病の原因は、主にウイルス、アルコール、生活習慣の3つにわけられます。

ウイルス

B型肝炎とC型肝炎は、日本ではウイルス感染による発症がそのほとんどを占めています。

感染者は、日本に約350万人。40歳以上の方の発症の割合が多いですが、最近は若年層のB型肝炎発症者も増えてきています。

アルコール

お酒に含まれているアルコールは、体にとっては有害なもの。しかし肝臓がきちんと働いていれば肝臓で無害化されます。

しかしお酒を大量に飲むことは、肝臓にとって大きな負担に。さらに、アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドによって、肝臓には強いダメージが加わることになります。

生活習慣(肥満)

飽食の現代、食べ過ぎや運動不足による肥満の割合が増加しています。

肥満者の約8割は脂肪肝に。さらに肥満や糖尿病の人に起こる肝臓の炎症や繊維化によって、肝硬変へと進行していく脂肪肝があることもわかってきました。

肝臓と糖鎖の関係

糖鎖は、いろいろな病気の診断や治療に利用されています。肝臓病も例外ではありません。

肝臓病になると血液中の細胞に糖鎖異常が表れる

糖鎖は、肝臓病の発見に役立っています。

肝臓癌になると、血液中にあるたんぱく質の一種の量が増加。そのたんぱく質の表面についている糖鎖に変化があることがわかってきました。

これは同じ肝臓病である、肝炎や肝硬変には見られない変化です。そのため、糖鎖のたった1つの違いを調べることで、肝臓癌かどうかを正確に判断し、すぐに治療をスタートできるようになったというわけです。

たとえば、肝臓がんになると、血液中のAFP(アルファフェトプロテイン)というタンパク質の量が増えるだけでなく、AFPの表面についている糖鎖が変わることがわかってきました。「フコース」という糖が1個、糖鎖の根元につくのです。

引用元:理研の博士に聞いてみよう!

肝炎からがんに(繊維化の程度が)進むと、糖鎖構造が変化した糖たんぱく質の血中濃度が増えるが、糖鎖解析技術によりこのような糖たんぱく質の量を把握する。

引用元:糖鎖マーカーを用いた肝繊維化検査技術

糖鎖によるバイオマーカーは、慢性の変性疾患のほとんどに利用できると思います。ただ、血液を使うのが最適かどうかはわかりません。基本的な考え方は、構造変化した糖鎖分子が最も濃縮された体液を使うということです。

引用元:世界初、糖鎖の変化を測定して肝臓の線維化進行度を判定 | NEDOプロジェクト実用化ドキュメント

糖鎖を利用した肝臓病の治療も期待されている

現在、肝臓病の治療に糖鎖を役立てる方法が研究されています。

糖鎖の機能を利用した代表的な医薬品として、タミフルがあります。同じように、糖鎖を利用した薬は、市販に至ったものは少ないながらも、様々な領域で注目され研究が進められています。

糖鎖の肝臓病への効果も、これからさらに開発が進んでいくことが期待できるでしょう。

細胞表面に発現する糖鎖は,細胞の癌化に伴って質的・量的に大きく変化するだけでなく,癌の浸潤や転移 においても重要な役割を果 たすことから,治療への応用に関心が高まっている1,2).

引用元:糖鎖と癌治療

糖鎖の合成阻害,糖鎖による免疫担当細胞の活性化,糖蛋白糖鎖を標的にした抗体医薬品,糖鎖を利用した癌ワクチンなど,糖鎖を癌治療に応用する試みが活発に行われ,すでに医薬品として認可されているものもある3,4).

引用元:糖鎖と癌治療

まとめ

肝臓と糖鎖について、これから研究が進んでいくのが楽しみですね!

そうですね。まだ明らかになっていないことも多いですが、糖鎖を整えることが肝臓病の予防になることは間違いありません。

糖鎖を整えることは、体の免疫力をアップすることになりますもんね。

そうです。体に入ってきたウイルスや、悪い癌細胞と戦うように指令を出すのは、他の誰でもなく糖鎖なのですから。

早速父に教えてあげます!さとう所長、次は糖鎖を整える方法について教えてください!

糖鎖を整えるためには?